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65歳以上になり要介護認定で要支援・要介護の認定を受けると、さまざまな介護サービスを受けることができるようになります。
(※加齢に伴う特定疾患の場合は一部40歳から受けることができます。)
介護サービスをどのように受けるかという介護計画書のことを「ケアプラン」と言います。
そしてこのケアプランを作成するのがケアマネジャーです。
ここでは介護サービスの受ける上での次のステップとなる
ケアマネジャーとの契約方法や探し方、選び方、また満足がいくケアプランの作成方法などを詳しく解説していきます。
介護サービスの種類についてはこちらで詳しく解説しています
→ 【介護サービスの種類】在宅や施設で受けられる介護保険サービス一覧
ケアプランとは介護保険を利用するための計画書のことをいいます。
さまざまな介護保険サービスを頼むためには要介護認定を受けた後、無計画に単発でサービスを依頼するのではなく、この先どんな生活を送りたいかという目標を設定し、それに基づいてサービスの利用を計画していきます。
これがケアプランであり、このケアプランを作成することで初めて受けられるようになるのです。
このケアプランを作成してくれるのがケアマネジャー(介護支援専門員)という資格を持った専門家です。
ケアマネジャーは市町村から自動的に人選されるわけではなく、サービスを受ける側が自分たちで選び、自分たちで契約します。
ですので私たちは、介護サービスを受けることを決めたら、まずはケアプラン作成してもらうためにケアマネジャーを探す必要があるのです。
満足のいくケアプランを作成してもらうためには信頼できて優秀なケアマネジャーを選ばなくてはいけません。
ケアマネジャーも誰に頼んでも同じというわけではなく、その能力や人柄、またさまざまな状況によってかなりの差があると言われています。
そのようなこともふまえて、ケアマネジャーとの契約は慎重に行うべきです。
ではどのようにケアマネジャーを探せばいいのか、どういう人と契約すればいいのかを考えていきましょう。
ケアマネジャーがケアプランを作成するのは要介護認定1〜5の方が対象です。
要支援1〜2の方の場合は地域包括支援センターがケアプランの作成をしてくれます。
まず良いケアマネジャーを探すためにも、ケアマネジャーという資格を持った人はどんな役割を持ち、どういう人がこの職に就くことができるのかを確認しておきましょう。
ケアマネジャーという仕事は介護サービスを提供するプロのコーディネーターです。
介護サービスを受ける本人と家族と話し合いながら、希望に合ったケアプランを作成し、プラン通りに介護サービスが受けられるように、介護サービス事業所や医師、病院などを連絡を取り調整をとります。
例えば、訪問介護サービスを受けたいと思った場合、私たちが直接介護サービス事業所に依頼をし申し込みをしたり、かかる費用を確認したりという必要はありません。
これを代わりに請け負ってくれるのがケアマネジャーなのです。
どういう介護サービスを受けたいかという希望を伝えると、専門家としての知識やアドバイスを入れながら、地域の利用可能なサービスを調整し、プランにしてくれます。
そしてサービスの開始後も計画通りにサービスが提供されているかの確認もしてくれ、時には利用者の状況(心身の変化など)によってプランの変更なども行います。
まさに介護のプロコーディネーター、これがケアマネジャー(介護支援専門員)です。
そして、何かあったら即ケアマネジャーに相談できます。
これから介護サービスを受けていく上で、利用する本人はもちろん私たち家族にとって、ケアマネジャーが最も身近で一番重要な役割を持つ人になります。
だからこそ、ケアマネジャー選びはとても重要です。
介護のことをよく理解していなかった頃は、介護サービスは自分たちで毎回電話をしたりして依頼をするのかと思っていました。
そろそろお風呂に入れてあげたいから訪問入浴サービスをどこか近くの介護サービスセンターを探して電話して・・・というように。
私たち子供世代でもさまざまな予約や手配というのは面倒なものです。
これを介護を受け始めた親たちができるのか・・・正直なかなかそれをするのは大変だなあと思っていたのですが、これを全て請け負ってくれるのがケアマネジャーでした、
「なるほど、これならはじめに希望を伝えて計画を一緒に建ててもらえるし、その後の調整もしれもらえる」
すばらしい仕組みだなあと思いました。
このようにケアマネジャーの役割は介護サービスにとって大きな存在であり、介護スペシャリストとしての上級資格になります。
ケアマネジャーの資格を取得するには「ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)」を受験し合格する必要があります。
試験自体も近年では合格率10%と難易度が高い資格なのですが、これ以前に受験資格にかなりの制限があります。
ケアマネジャー資格試験の受験資格
(1)国家資格等(※1※2)に基づく業務に通算5年以上かつ900日以上従事する者
(2)施設等での相談援助業務に通算5年以上かつ900日以上従事する者
※1 国家資格:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、義肢装具士、言語聴覚士、歯科衛生士、視能訓練士、柔道整復師、精神保健福祉士、栄養士、管理栄養士
※2 平成28年度以降(平成29年度試験までは経過措置あり)、受験資格は「国家資格等保有者」と、「生活相談員等の相談援助業務従事者」に限定。
※平成29年度の試験まで要件として認められていた、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)等の資格を保有していて5年間介護等の業務に従事している方や、介護等業務10年(無資格可)10年間介護等の業務に従事している方に関しては受験要件から除外されました。
と、医療や介護などの専門的国家資格等を持ちさらに実務経験が必要というかなりの狭き門。
これをみてもこのケアマネジャーという資格を持つ人たちが介護サービスの世界で特別な役割を持つということが理解できるのでないかと思います。
ケアマネジャーは利用者が選んでそれぞれ個別に契約をします。
では実際にケアマネジャーはどこで探せばいいのでしょうか?
その地域で働くケアマネジャーのリストは、市町村の介護保険課、もしくは地域包括センターでもらうことができます。
地域包括センターはその地域で生活する介護が必要な方とその家族をサポートすることを目的にしている施設で様々な相談にのってくれる場所です。
詳しくはこちらの記事→地域包括支援センターでまず相談|介護の相談はどこにすればいいの?
ただし、ここでもらうのはあくまでも一覧のリストですので、そのケアマネジャーがどういう人なのかまでは判断することができません。
実際にはまずリストから目星をつけ、そのケアマネジャーが所属している居宅介護支援事業所に連絡をし、面談のアポイントを取ります。
そして直接会って話を聞き、契約するかどうかを決めていくという流れです。
面談をしたからといってすぐに契約をするわけではありません。
何人かの方に会ってよく考えて絞り込んでから契約に進めばいいのです。
同じ地域ですでに親の介護が始まっている友人がもしいるなら積極的に口コミ情報なども聞いておきましょう。
最後は直接会わなければ判断はしかねますが、口コミや評判も大きな判断基準になるでしょう。
特に悪い口コミや評判は広まりやすいものです。
評判が本当かどうかはわかりませんが、わざわざ悪評のあるケアマネジャーに依頼する必要もないような気がします。
リストを手にして実際にケアマネジャーを選んでいく際には、次のような点もチェックすべきポイントです。
ケアマネジャーは「居宅介護支援事務所」というところに所属しています。
居宅介護支援事業所とは、事業所に所属するケアマネジャーがケアプランを作成・管理する場所です。
ケアプランを作るなどサービスが提供できる事業を居宅介護支援事業といいますが、この事業を行うには、株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人などの法人を設立し、厚生労働省が定める指定基準を満たしたうえで認可申請を行い、事業所の指定を受ける必要があります。
指定を受けた後も指定基準を満たし続けなければならす、基準が満たされず指定基準違反をすると厳しい行政処分が行われます。
ですので各市町村にある居宅介護支援事業所は全て厳しい審査に合格した事務所であるということは間違いないのでその点は安心して大丈夫です。
居宅支援事業所の経営形態には併設型と独立型があります。
併設型とは居宅介護支援事務所の経営母体が訪問介護サービスやデイサービスなどの介護サービス事業所もグループ経営しているところのことを言います。
独立型はそういった介護サービス事業所に属さず居宅介護支援事業だけを行っている事務所です。
この2つの経営形態にはそれぞれにメリットデメリットがあります。
併設型の場合は同じグループで介護サービスを提供しているわけですから、どうしても同じグループ内のサービスを優先的に紹介されてしまうことが多く、他の介護事業所が提供しているサービスが受けにくくなるのではないか?という懸念はあります。
同じようなサービスならば同じグループのものを提供したいというのは当然といえば当然なのですが・・・。
メリットとしてはその逆で、同じグループのサービスについては優先的に受けることができるわけですから、希望するサービスの提供も受けやすくなります。
独立型の場合には、優先という概念はありませんから利用者にとって最も良いサービスは何か?が基準で介護サービス提供事業所を選んでもらうことができます。
ですが、グループに属してない分そのサービスの予約等が取りにくいということも十分に考えられます。
ということを考えると、
併設型の事務所からケアマネジャーを選ぶ場合はその事業所グループのサービスをしっかりチェックすることが重要です。
「グループが大きく、さまざまなサービスがその事務所だけで受けられる」「受けたいサービスが揃っている」など、グループ全体をしっかり確認しておくべきです。
これは各居宅介護支援事業所グループのホームページなどでも確認しておくことができると思います。
独立型の事務所で選ぶ場合はその事務所が対象の地域でどのくらいの力を持っているかというのは大きなポイントになります。
周辺の介護サービス事業所に対しての関係性は知っておきたいところです。
これはホームページなどでわかることではありませんので「予約はどこのサービスのものも取りやすいのか」など面談の時には話の中で確認をしておきましょう。
また評判や設立からどのくらい経っているのかなども確認しておきたい事項です。
ケアマネジャーは不公正中立の立場で事業者を選ぶことが求められていますがそれぞれどのようにサービスを選んでいるのかをさりげなく確認しておきましょう。
ケアマネジャーになるためには実務経験が必要です。
ですのでそれぞれのケアマネジャーは何かしらの前職があるはずです。
それがどんなものだったのかも判断の基準になります。
例えば前職が看護師であれば病気に詳しいので親に持病がある場合には力強いでしょう。
また社会福祉士、介護福祉士の場合には介護の現場をよく知っているという点が信頼できます。
リハビリ等が必要な場合は理学療法士や作業療法士の出身の方が相談しやすいかもしれません。
ここも是非確認しておきたいポイントです。
最終的には実際に会って話をしてみた印象が一番でしょう。
面談には必ず私たちも同席し、親との相性も見ながら信頼できる方がどうかを見極めていきましょう。
このようなことをチェックしながら話を聞きましょう。
誰に頼むかが決れば契約へと進みますが、一度会ったからといって契約をすぐしなくてはいけないわけではありません。
時間に余裕があれば複数の方と面談してみてじっくり決めてもいいでしょう。
ケアプランは要介護認定を受けた後に作成してもらうことになりますが、ケアマネジャーを探すのはその時でいいのでしょうか?
要介護認定は申請から認定まで約1ヶ月くらいの期間がかかります。
ですのでこの時期にケアマネジャーを決めておくと認定後すぐにケアプランを作成してもらうことができます。
要介護認定が下りるだろうと想定できる場合は早めに動いておいた方がロスがありません。
微妙な線上の時も状態的に認定が下りそうかどうか面談するケアマネジャーに聞いてみてもいいでしょう。
また場合によっては認定前にケアマネジャーと契約し、認定の申請を代行してもらったり認定調査に立ち会ってもらうことも可能です。
レアケースですが急を要する場合などはこのようなケースもあることを知っておいてもいいでしょう。
少なくても要介護認定の申請中にケアマネジャーのリストの入手と、どんなグループに属しているのかなどの確認はしておき、認定後はすぐに面談の申し込みができるくらいの準備はしておくといいと思います。
担当してもらいたいケアマネジャーが決ったら次は契約です。
契約はそのケアマネジャーが所属している居宅介護支援事業者との契約になります。
契約の際には以下の3点の書類を渡されます。
※重要事項説明書にはサービスの内容などこの契約に関するさまざまなことが書かれています。
これらの内容をしっかり確認し、納得したら署名捺印をし契約を完了させます。
親と同居していない場合などは、今後の確認のためにも私たちも1部コピーして保管しておくといいと思います。
ケアマネージャとの契約が完了すると、いよいよケアプランの作成になります。
(ケアプランは居宅サービス契約書とも言います。)
作成は無料です。
作成の流れは次のようになります。
@アセスメント(情報収集)
ケアマネジャーが利用者や家族の話を聞いたり、実際に家に来て住居の環境を調査したりします。
ただの状況調査だけではなく、体を動かすことを取り入れたい、デイサービス(通所介護)などに行って人と会って話をしたいなど、どんな生活を送りたいのか、どういうサービスが必要なのかをしっかりと話し合っていきます。
介護に来る人は同性がいい、できればお風呂が自分で入りたいなどできるできないは別にしても希望をしっかり伝えておくことが重要です。
A原案の作成(サービス事業者の設定)
ケアマネジャーが原案を作成します。
案を元にどのサービス事業者のサービスを利用するか選んでいきます。
訪問入浴サービスを利用したいならそのサービスを行っているこの事業所のサービスにするなどをいうようにそれぞれに当てはめていきます。
ケアマネジャーが候補先のリストを提案してくれますが、そこ以外から自分で選ぶこともできます。
ケアマネジャーはどうしても自グループのサービスを提案してくることが多くなりますが、ケアマネジャーの仕事の姿勢として公正中立に選ぶことになっているので受けたいサービスがある場合は遠慮せずにお願いしても大丈夫です。
Cサービス担当者会議を開催する
利用者、家族、ケアマネジャー、サービス事業者、主治医が全員が集まり担当者会議を行います。
関係者同士でしっかり調整を行い最終的なケアプランを決定します。
この4つのステップを経てはじめてケアプランが完成し、その後はこのケアプランに従って介護サービスが実施されていきます。
できあがったケアプランは3種類の書類で構成されています。
ケアプランは必ずケアマネジャーがケアマネジャーが作らなければならないというものではありません。
本人や私たち家族が作成することもできます。
これをセルフケアプランといいます。
しかしこれを行うには、
とこれを全て行うことになります。
さすがにとてもこれはできるものではありません。
何か特別な事情があるという訳でもない限りプロであるケアマネジャーに頼むのがやはり一番でしょう。
一度契約をしたケアマネジャーはもう変更できないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
なんとなく合わない、不満が出てきたなど理由は問わず契約の解除は可能です。
同じ居宅介護支援事業者の事務所の中で担当を変更してもらうこともできますし、別の事務所で再契約をすることもできます。
ケアマネジャーが変わっても利用する介護サービスの内容が変わらず同じものを利用する場合は、継続してそのまま利用することができます。
あくまでもケアマネジャーの変更だけで大丈夫です。
また特別養護老人ホームや小規模多機能型住宅介護などに入居することになった場合は、その施設のケアマネジャーが今後は担当になります。
この場合は無条件でケアマネは変更となり新しい方と再契約というになります。
施設介護に移行するケースではなく、「合わない」というのが理由でケアマネジャーを変更する時は、やはり少し気が引けてしまうこともあると思いますが、ケアマネジャーとの相性は介護サービスの肝になってきます。
ですのでどうしても嫌だという場合は我慢せず変更を検討していいと思います。
また変更する場合も本人に直接伝える以外の方法もあります。
市町村役場の介護課に相談する、新しく依頼したいケアマネジャーの所属する居宅介護支援事業者に相談するという方法もあります。
これからはじまるさまざまな介護サービスは全てこのケアプランをもとにして実行されていきます。
原案を作る前のアセスメントの時に、こちらの要望をいろいろ伝えることになりますが、ここでしっかり希望を伝えるかどうかが重要です。
介護サービスについて私たちがしっかりわかっていなければ希望を伝えることもできません。
訪問介護サービスの種類はこちらのページで紹介していますが(→訪問介護サービス(ホームヘルプ))、実際に介護サービスを受ける地域でどんな事業所がどんなサービスを行っているのか、各事業所のホームページなどでも確認しておきましょう。
親世代はなかなか自分たちで調べることはないと思います。
どれだけ下調べをしてあげられるか・・・子供としてできるだけのことをしてあげたいものです。