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老いてきたといってもまだまだ元気な親ですから、あまり露骨にお金の話などを切り出すのはいいにくいなあというのが本当のところです。
でも急に親が重症になってしまって動けなくなってしまったり、もしくは認知症になってしまったりした場合に、「聞いておけばよかった・・・」と一番後悔するのが親の預金のことになるでしょう。
「あとから聞いておけばよかった!」と後悔がないように、(この段階ではまださりげなくでいいと思いますが)最低限親に聞いておきたい方がいいお金の関係のことをまとめてみました。
親が入院をしたり、また介護生活が長くなるといろいろとお金もかかってきます。
こういった老後の費用を自分たちでしっかり貯金している親は多いと思うのですが、このお金は当然ですが子供が勝手に下ろすことはできません。
親が元気でしっかりしていれば通帳と印鑑(もしくはキャッシュカード)を預かって代わりに下ろすこともできますが、急な事故や病気で話ができなくなってしまったら・・・その預金はあてにすることができません。
もう亡くなってしまった場合はそれは遺産相続になりまた別の手続きになるのですが、親が存命ならどんなに事情を話してもお金を下ろすことは難しくなります。
(支店で事情を話し下ろせたという方もいますが、なかなか認めらずそのままあきらめることの方が多いそうです。)
年を取ったといってもまだまだ元気でしょうから、預金を預かるというのはずっと先の話になりますが、いざとなった時に自分たち(子供)が問題なく預かることができるように、
ということを今のうちにしておいてもらうといいいでしょう。
なかなか切り出しにくいかとは思いますが、
例えば
「友達のお母さんがさこの前倒れて入院になって意識があまりなくてもうしばらく経つんだけど、入院費用が払えなくて苦労してるみたい。
お母さんもかなり貯金してたらしいんだけど、その通帳がどこにあるかわからないし、番号も聞けないから下ろせないんだってさ。
もう旦那さんはかなり前に亡くなってるし。」
なんていう友人の話(場合によっては架空の)などをきっかけにしてみると
「そうだね、通帳の事一度まとめておくよ、私たちも何があるかわからないし」
というよな話になっていきやすいと思います。
通帳等を預かるのはまだ先の段階ですが今の段階でもまずここまでしておくと安心です。
※親が重病になったり認知症になったりした場合は子供たちが管理するように考えましょう。
上記のお話は普通預金の話ですが、定期預金についてはどうでしょうか?
こちらの方もなかなか厄介で、これはいざお金に困っても満期が来るまで下ろせませんよね。
親が若い頃は金利も良かったので「やっぱ定期よね!」といろいろな定期預金をしていることもあるかもしれませんが、今は0.01%ほど。
普通預金の0.001%に比べれば確かに10倍ですが、それでも1000万円を預けて1年で1000円です。
1年単位くらいならまだいいですが5年の定期などの場合はいつになったら下ろせるのかという感じです。
70代になった親にとってはあまり定期預金のメリットはなく、使いにくいというデメリットの方が大きいような気がします。
この辺の定期預金がどうなってるのかもできれば確認し、親が元気なうちに解約して普通預金に移しておくことをおすすめします。
自動継続のものなら次回は継続しないなどの手続きをしておいた方がいいでしょう。
満期前の解約の場合は、通帳、印鑑、本人確認書類などが必要です。
代理では解約できません。本人が行く必要があります。
(代理では途中解約は基本受け付けてもらえません。満期を待つ必要があります。ですので親が元気なうちにやっておかなくてはいけないのです!)
引き留められてしまうこともあるので一緒に付き添うのがいいかもしれません。
普通預金にお金が移っておけばいざという時に下ろせることができるので安心です。
こちらはめったにないかもしれませんが、貸金庫を借りているということはないでしょうか?
これもあとからかなり面倒になるケースです。
お金ではなく銀行に預けているためその支店でしか受け取ることができません。
貸金庫の鍵がどこにあるかなかなか見つからなかったいうトラブルも多いようです。
そして解約も本人以外では基本受け付けてくれません。
司法書士さんなどにいろいろ書類を作ってもらわないと解約できないケースがほとんどです。
貸金庫を借りてるというケースはまれだとは思いますが、一応念のために確認しておいた方がいいでしょう。
比較的盲点なのが子供名義や孫名義になっている預金です。
これも忘れてしまいがち。
親が子供名義で定期預金をし、いつの間にか満期になってそのまま積んであるというのは多いパターンです。
子供名義ですからこれを下ろすことができるのは子供、あなた本人です。
小さい時にやっていた貯金などの場合は年数がたっているので、それほどの高額ではなく、数十万くらいですと親もすっかり忘れているなんてことも・・・。
親もどんどん年を取ってくるとさらに忘れてしまうことも増えてきます。
自分名義の預金と子供名義のもので印鑑を変えているというケースもあり、だんだん「どれだっけ?」となてしまったり。
そんなことになる前にこちらも一応確認しておきたいものです。
普通預金の場合は通帳と印鑑、もしくはキャッシュカードがあれば引き出せます。
先のことを考えて解約しておいた方がいいでしょう。
定期預金の場合は通帳と印鑑、現住所がわかる身分証明書(免許証や住民票など)をもっていきましょう。
同じ銀行ならばどの支店でも受け付けてもらえます。
ただし、住所がたぶん実家の住所になっているはずなのでこの住所変更の手続きをはじめにします。
その場で対応してもらえるはずです。
その後基本的には普通預金にそのお金が移動するのでそこから引き出しが可能になります。
定期預金の通帳や印鑑がない場合は、定期預金が満期になっていると伝えてくる通知書が必要になります。
(これは定期的に銀行から送られてきているはずです)
この通知書と印鑑(届出印ではないものでOK)、現住所がわかる身分証明書、新しく振り込んで欲しい銀行口座を用意し、まず解約したい旨を銀行に電話等で伝えます。
その後窓口で通帳と印鑑の紛失手続きを行い、住所が違う場合はその手続きもし、解約へ進みます。
すぐにはお金は振り込まれず数週間後に指定の口座に入金されるという流れです。
これ以外にも商品券やタンス貯金、金、有価証券など、いざとなった時に困らないように、ある程度のことはまでは親が元気なうちにその財産を把握しておきましょう。
少し先になりますが、親が寝たきりになったりして動けなくなり自分で自分の財産を管理できなくなった時には、「財産管理等委任契約」というのを子供と結ぶことで、かわりに財産の管理をすることができるようになります。
財産管理等委任契約は自分の財産の管理やその他生活上の事務を代理権を与えた人が代行できるようになるという民法上の委任契約です(任意代理契約とも呼ばれます)。
もうひとつ似たような性質をもつ契約行為で「任意後見契約」というのがあるのですが、こちらは認知症などで本人の判断能力が不十分になった場合の契約で、「財産管理等委任」の方は判断能力はあるが体の自由がきかないという時に利用できる契約だという違いがあります。
今はどの金融機関も本人確認法の施行により本人以外ではなかなか預金などを引き出すことができなくなりました。
(ですので先ほどお伝えしたように早めに預金等を確認しておく必要があるのです!!)
思考はしっかりしていても病気の影響で動けない、話せない、字が書けないといった症状が残ってしまうこともあります。
こういう時になんとかしようというのがこの契約です。
この「財産管理等委任契約」ともうひとつの「任意後見契約」のついてはまた改めてしっかり解説します。
もし親に通帳等のことを聞き損ねているうちに何かがあった場合はそういう方法もあるというのを覚えていていただければと思います。
預金とあわせて是非確認しておきたいのが生命保険のことです。
親世代は保険のブームもあったのでしょうか、かなりたくさんの保険に入っている場合があります。
もしものためにの保険ですが、そのもしもが近づいてきているのも確かです。
どんな保険にどのくらい入っているのか、これは一度確認しておきましょう。
どんな保険に入っているかを知らないと親が入院や病気をした時に本人が重症になってしまうと保険の請求もできません。
せっかく何年も高い掛け金を払ってきたのにこれでは意味がありません。
一度しっかり保険の話もしておくべきです。
同時に必要ない保険に入っていないかというのもチェックしてみましょう。
保険の営業さんの頼まれてなんとなく入ってしまっている保険などはありませんか?
無駄に保険金をいまだに支払っているということなどはありませんか?
また、医療費の負担を軽減させるための制度「高額医療費制度」というものもあります。
これは、病院や薬局で支払った額(自己負担の額)が、その月内で上限額を超えたときにその超過額分が返金される制度です。
特に高齢者の場合はその上限額が低く設定されていますので、実は健康保険の対象外の治療にかかるということでもない限り、それほど医療費の心配はいらないのです。
高額療養費制度についてはこちらで詳しく解説
→ 高額療養費制度|介護医療費の負担を軽くする制度を知ろう
年金生活の親にとっては保険の支払いも楽ではないはずです(多分ですが・・)。
これも年をとっていくとさらに面倒になってそのままにしてしまう人も多いので一度一緒に確認して上げるといいと思います。
生命保険は死亡保険と医療保険の2つに分けられます。
【死亡保険】
定期保険 | 一定の決められた保険期間内に死亡したときのみに保険金が払われます。 |
---|---|
終身保険 | 生涯(死亡するまで)保証が続きます。ですので必ず最後は保険金が支払われる保険です。 |
【医療保険】
医療保険 | 病気やケガでの入院や手術をした時、また死亡した時に支払われる保険。 |
---|---|
がん保険 | 病気の中でもがんの時にのみ入院や手術をした時、また死亡した時に支払われる保険。 |
傷害保険 | 思いがけない事故でケガをしたり死亡したりした場合に支払われる保険。死亡保険金、後遺障害保険金、入院保険金、通院保険金などが支払われる。 |
もしこれを機に保険を見直すのであれば以下のようなことをポイントにしてみてください。
医療保険は入りすぎても意味がありません。高額療養費制度で戻ってくるからです。
言われるままにつけていた特約のせいで支払額が大きく上がってしまっていることもあります。
預金と同じで親の具合が悪くなったり認知症などの心配が出てくることもあります。受取人は夫、妻のままでいいのか、子供にすべきかなどを確認しておきましょう。
親に通帳のことを聞いたり保険の話をしたりというのは正直とても気まずいものです。
ですが、今できる時に、気か付いた時にこれをやっておくとこの後が大きく変わります。
親が弱ってきたと感じたらやっておいて欲しいこのと第一優先行動かもしれません。
いつまでも元気だと思っていても急に倒れることもあります。
もし親御さんが75歳を超えているならこれはいつ起きてもおかしくない状況です。
あとから通帳などお金のことを聞こうと思っても、病院で聞くことになってしまうかもしれません。
話もできない場合もありますし、話ができて比較的元気だったとしても
「え・・・と、タンスの上の、あ、違う、整理棚の中の・・えっと・・」と親本人も家にいないとすぐにその場所を言い当てることができないケースもあるでしょう。
大真面目に聞くのはまだあとの段階ですが、すこし軽い感じで聞いておくと、その後親も意識的に重要なものをまとめ始めてくれるかもしれません。
エンディングノートの記入などをさりげなく勧めてみるものいいですよね。
是非一度今のこの時期の通帳や保険のことを確認しておきましょう。
エンディングノートについてはこちらで解説しています。
→ エンディングノートの書き方・選び方