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「終活」(人生の終わりのための活動)という言葉が注目されたのは2009年頃からです。
2012年にはユーキャンの日本流行語大賞のトップ10にも選ばれました。
この「終活」という言葉の流行とともに、自分の人生の最期の時を意識しながら生きていくということを考える人がとても多くなりました。
そしてこの「終活」のため行動の第一歩となるのがエンディングノートです(終活ノートとも呼ばれます)。
もっと昔でしたらエンディングノートなどというと、「死」を連想させる縁起が悪いイメージがあったかもしれませんが、今は全く意味の違うものになっています。
エンディングノートは今後の人生をよりよく過ごすために、今までの人生を見直すためのツールという位置づけに変わってきているのです。
またエンディングノートは高齢になった親たちだけではなく、どの世代が書いてもおかしくはありません。
エンディングノートは自分に万が一のことがあった時に、残された家族が困らないようにするためのものでもあるからです。
実際に親にエンディングノートを書いておいてもらうことができると、亡くなったあとのいろいろな手続きがスムーズになり残された家族はとても助かります。
また親自身にとっても、エンディングノートを書くことで「終活」を意識し、それはきっと今後の人生にもよい影響があるはずです。
ただ実際には、エンディングノートというものの存在は知っていても、実際に書いている人はまだ数パーセントです。
いつか書こう、そのうち書こういう気持ちはあっても、なかなか行動にうつせなかったり、ノートを購入してそのままという人も。
ここではエンディングノートの意味や目的、その書き方、選び方などを詳しく解説しています。
また実際に今人気のある商品を写真で掲載し比較しています。
読んでいただくと、エンディングノートを書くことのメリットがよくわかるのではないかと思います。
親がエンディングノートを書いていない場合は、「エンディングノートを書くことの意味やメリット」を伝え、書くことを勧めてみましょう。
また親だけではなく、私たちも、ぜひエンディングノートを書くということを始めてみましょう。
まずはじめにエンディングノートとはどんなものなのかについて改めて考えてみましょう。
エンディングノートとは、自分に万が一のことがあった場合に、残された家族が困ることがないように、自分の頭の中の考えや自分しか知らないことをしっかり家族に伝えるために記録をするノートです。
「万が一」のできごとは終活を考え始めた高齢者だけに起こるものではありません。
ですからエンディングノートを書くべき対象者は、ある意味では全ての人といえるでしょう。
残された家族に意志を使えるものとしてはもうひとつ遺言書があります。
遺言書とエンディングノートとの一番の大きな違いは法的効力があるかないかです。
財産などを希望通りに確実に相続させるためには遺言書を書く必要があります。
エンディングノートにどんなに詳しく書いても、法的には認められません。
ですがその分、エンディングノートは何をどう書くのも自由です。
また遺言書は、その本人の死亡後でしかその意志を伝えることができませんが、エンディングノートは体の自由がきかなくなったり、認知症などで意志の疎通ができなくなった時から利用することができます。
遺言書のように細かい記載の決まりも何もありませんので、全てが自由です。
ですので、遺言書とエンディングノートは全く別のものとして考えておいた方がわかりやすいでしょう。
家族で話し合いができていて、遺産相続のトラブルはないだろうと予測される場合は、遺言書の必要はあまり必要はないかもしれませんが、エンディングノートは家族のためにもしっかり書いておくべきだと思います。
遺言書についてはこちらで解説しています
→ 遺言書の書き方|遺言書を書くにはどうすればいいの?種類や保管方法など
もうひとつ「遺書」もありますが、遺書は死にあたり自分の気持ちを家族や関係者に向けて書き記したものになります。
これは自分の気持ちなどについて書かれるもので、書き方の決まりもありませんが法的効力もありません。
エンディングノートの目的とメリットを具体的にもう少し深く考えてみましょう。
エンディングノートには、将来的に起こる介護や葬儀、供養などについて、「こうして欲しい」という自分の希望を自由に書くことができます。
例えば、自分が脳死状態になった時の延命治療についても、
「もし脳死状態になるようなことがあったら、延命治療はしないで欲しい」
というような意志も書いておくことができます。
脳死状態になった場合、延命をさせるかどうかを決定するのは家族ですが、命がある状態の人の治療を行わないというのは残された家族をしてはなかなか言えるものではありません。
そんな時に、エンディングノートで「延命治療はしないで欲しい」といいう意志が記されていれば、家族としては救われる思いがするでしょう。
「尊厳死(延命治療を希望しない)」を法的に公式な意志として残すには「尊厳死宣言書」を公証人役場で作成しなければなりません。
これには費用も手間も掛かりますので、特別な事情がない限りなかなかここまでする方は多くはないでしょう。
今後は尊厳死の希望の意志はエンディングノートを通じて伝えれらることが増えてくると思います。
また葬儀についての希望については、
「あまり人は呼ばずに家族と親しい友人だけを呼んで欲しい」
「私が死んだら必ずこの人たちにはそれを伝えて欲しい」
「一緒に埋葬して欲しいもの」
「遺影に使って欲しい写真」
などといったことを何でも書いておくことができます。
このようなことはなかなか普段から伝えておくことはなく、自分でもどういう希望を持っているか気がついていないかもしれません。
ですのでこうやってエンディングノートに書いていくことで、自分はどうしたいのかということもいろいろ見えてきます。
エンディングノートは家族に自分の希望を伝えると同時に、自分が何を望んでいるのか、どうしたいのかを考えるきっかけになります。
エンディングノートには、自分の過去「自分史」を書くこともできます。
そこには子供の頃からの自分を思い出し、それを書き込んでいくことができます。
エンディングノートにどうしてこんな項目が必要なのかと思うかもしれませんが、エンディングノートは終活のためのツールです。
自分の過去を振り返り、どんな人生を歩んできたかを記すことで、まだやり切れていないこと、死ぬまでに叶えておきたいことなども見えてくるのではないでしょうか?
残りの人生をより充実したものにするためにもこの「自分史」はぜひまとめておきたい事柄です。
また自分の死後、残された家族に対しても「自分はこういう人生を送ってきた」というのを伝えることができます。
自分の子供くらいまでは自分のことを伝えることはできても孫やひ孫になるとなかなか自分のことを伝える機会もなかったかもしれません。
自分の生きてきた道を思い出として伝えておくのはとても素敵なことです。
エンディングノートには伝えておかなくてはならないいろいろな情報を書くことができます。
例えば、銀行口座はどこなのか、そのキャッシュカードの暗証番号はどこなのか。
所有している財産は何があるのか。
タンス預金はどこにしまってあるのか。
などの情報を家族に正確に伝えるためのツールとしてもエンディングノートは使われます。
家族が亡くなると、手続きをしなくてはなりませんが、このように情報をひとつにまとめておくと、残された家族はとても助かります。
また最近では、高齢者もインターネットを利用しています。
FacebookやTwitterなどのSNSやブログなどを使っている人も多いでしょう。
こういったデジタル資産には個人データが残ってしまいます。
有料のサービスなどは解約をしなければそのまま料金の支払いが継続してしまいます。
これらのサービスをどうして欲しいのか(保存するのか、破棄するのか)についても、IDやパスワードを添えてしっかり伝えておくべきでしょう。
エンディングノートには大切な人へのメッセージというページもあり、感謝の気持ちを書くこともできます。
家族や友人などへの感謝の気持ちはなかなか面と向かっては伝えにくいものです。
でも、「わかってくれているはず」では通じないものがあります。
そして改めて言われるからうれしいものでもあります。
もちろん、ここでは書ききれずに別の手紙にしてもいいとは思いますが、ちゃんとまとめて書こうと構えるとなかなか書けないものです。
まずはエンディングノートに書いておくだけでもそのきっかけになるでしょう。
またこのメッセージを書いているうちに、自分が生きているうちにその大切な人たちへしてあげたいこともより鮮明になってくるはずです。
というようにエンディングノートは、残された家族のための情報を書き記すものであると同時に、
今の自分、これからの残された人生を悔いなく生きるためにの人生見直ツールとして、
というのが、エンディングノートのもう1つの大きな目的なのです。
ぜひこのエンディングノートを書くことの目的とメリットを高齢の親にも伝えいただければと思います。
エンディングノートの必要性がわかり、自分も書いてみようと思っても、ノートを目の前に置くと、どうしても構えてしまいます。
「エンディングノートは買ったけど、そのままになっている…いざとなるとなかなか書き出すことができない」
「数ページ書いたけど、途中で書けなくなってしまった」
という声も多いようです。
無理なく続けるための書き方のコツを考えてみましょう。
エンディングノートはどこから書かなければいけないという決まりはありません。
一番書きやすいところから書くのがコツです。
気になったページ、書いてみたいページから埋めていくといいでしょう。
慣れてきたら緊急性のあるページ(財産の項目や、保険、貴重品の保管場所など)なども記入していきましょう。
葬儀やお墓などの項目、親戚や友人の連絡先なども優先順位は高くなるでしょう。
エンディングノートは、一度に全てのページを書き上げたら終わりというものではありません。
毎年、自分の周りの環境は変わりますので、その都度情報を更新して書くようにします。
かといって新しいものに書き換える必要はなく、書く欄がなくなったら付箋紙などのメモを貼りながら、重ね書きしていくといいでしょう。
ただし、私たちのような40代や50代から書き始める場合は、5年おきくらいの目安でノートを新調するのもいいかもしれません。
5年、10年で書く内容もいろいろ変わってくるので、同じノートで書き続けるのは少し難しくなるからです。
でもその場合も、必ず前のノートは一緒にして保管しておくようにしましょう。
記録の遍歴がわかります。
また記入日は必ず書くようにします。
追加で書き加えた場合や付箋等で書く場合も記入日を入れます。
自分はどれが最新のものかわかっていても、自分以外の人が見るとどの情報が一番新しいのかわかりませんので、記入日は忘れずに入れましょう。
過去の記述についてもあえて消す必要はないと思います。
「この時にはこう考えていた」という記録にもなります。
エンディングノートは手書きで書くことが基本です。
「何度も書き換えをするものだし、パソコンなどで作成した方がいいのでは?」
という考えもあるようですが、電子ファイルですと、保存先がわからなかったり、パソコンにロックがかかってしまったりなど、そのファイルが開かれない可能性もあります。
また将来的に病院などに入院をすることになってしまった時、ほとんどの場合はパソコンに向かって続きを書くことができません。
手書きのノートの場合はどこにでも持っていくことができますので、病院のベッドの中からでも続きを書くことができます。
ですので、少し面倒かなと思っても、どこにでも持っていくことができる、誰にでも見せることができるという点を考えると、手書きで書くことをおすすめします。
今は本屋や文具屋に行くと、さまざまなエンディングノートが販売されています。
「さてどれを買おうか…」
これだけの種類があるとどれを選んでいいか悩むと思います。
どれも同じように見えますが、よく見ると特徴もそれぞれに違います。
ここでは何を基準にエンディングノートを選べばいいかについて考えてみましょう。
エンディングノートの構成は「自分史の部分」、「財産の部分」、「医療・介護の部分」、「家族の部分」と基本的な構成はほとんど同じですが、そこに充てられれいる枚数(ページ数)には差があります。
自分がエンディングノートで一番書いておきたいところの部分が充実していて、書きやすく編集されているものを選ぶのが一番いいでしょう。
全てのページに対してベストな1冊というのはなかなかありませんので、一番書きたい項目を基準に選ぶと失敗がありません。
また紙の質などもできればチェックしたいものです。
光沢があり紙面がサラサラしているものなどはペンも滑り書きにくくなります。
鉛筆でもボールペンでもノートとして書きやすいものを選びましょう。
また高級なハードカバーのものなどもありますが、そのタイプのものは案外買って後悔する人が多いようです。
かしこまりすぎてしまうのかもしれません・・・。
もっとカジュアルに気軽に書けるタイプの方が気負うことなく書き始めることができます。
以上のようなことを考えながらエンディングノートを選んでいくわけですが、メーカーごとにデザインや項目なども少しずつ異なります。
好みもあるので、ノートを手に取ったら、実際にそのページに書く内容をイメージして、サラサラと書けそうだなあと思うものを選びましょう。
微妙な色合いや、デザイン、余白、イラスト、書体などでもかなり好き嫌いが分かれます。
これからずっと付き合っていくエンディングノートですから、よく考えたいものです。
ここでは実際に販売されている4冊のエンディングノートを用意しました。
それぞれの製品によって、少しずつ内容や重視している部分が違います。
この後の「エンディングノートに書いておきたいこと」の解説とともに、こちらの各製品の対応ページを掲載しました。
それぞれに違いがあるのでぜひ比較してみてください。
商品 | |
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販売元 | コクヨ(KOKUYO) |
監修・協力 | 弁護士ドットコム |
価格 | 1,630円(税抜) |
備考 |
一番売れているエンディングノートと言われています。 |
商品 | |
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販売元 | リベラル社 |
監修・協力 | 行政書士 東 修 |
価格 | 980円(税抜) |
備考 |
終活セミナーの受講生の3000人の声をもとに作られたノート。 |
商品 | |
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販売元 | 永岡書店 |
監修・協力 | エンディング研究会 |
価格 | 780円(税抜) |
備考 |
欲張らず必要な項目をすっきりまとめたノート。 |
商品 | |
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販売元 | LEC ライフ・アンド・エンディングセンター(NPO法人) |
監修・協力 | LEC 代表 須斎 美智子 |
価格 | 460円(税抜) |
備考 |
A4版の薄いノートですが、17万部発行の実績があります。 |
一般的に市販されているエンディングノートは、「医療・介護」、「葬儀・墓」、「財産・お金」、「家族」、「自分史」というようにいくつかの部分に分かれています。
具体的には次のような内容を記入していきます。
上記4つのエンディングノートの対応ページも掲載していきますので、比較してみてください。
【医療】
普段どんな薬を飲んでいるか、かかりつけの病院の連絡先、今までかかったことのある病気などを記入します。
重体などの状態になって自分が話ができなくても、このノートを見れば自分の体の状態がわかるようにしておくと安心でしょう。
【介護】
介護をお願いしたい人、どんな介護を希望するか、どこから費用を出して欲しいかというような介護全般についての内容を記入します。
また、普段はどのように過ごしたいか、どんな服装が楽か、食べ物の好き嫌い、趣味はあるかなど実際に介護が始まった時に伝えておきたいことなども記入できます。
※4商品の該当ページ(画像クリックで拡大します)
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B永岡書店 | CLEC |
【延命治療】
延命治療を希望するかしないか、告知を希望するかしないか、臓器の提供や献体についての希望などを記入します。
残された家族に判断をゆだねるのは精神的に難しいことですので、本人の意思をここでしっかり記しておきたい重要な項目です。
※4商品の該当ページ(画像クリックで拡大します)
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B永岡書店 | CLEC |
【葬儀】
どのような葬儀を希望するかはしっかり書いていきたい項目です。
身内だけの家族葬で行いたいのか、生前にお世話になった人に参列してもらう一般葬がいいのかなどの葬儀の形式の希望を記入します。
遺影に使って欲しい写真、一緒に火葬して欲しいものなども記入できます。
自分が死んだときに連絡をして欲しい人のリストなども記入します。
また、自分の家の宗教や菩提寺がどこなのかもしっかり記入しておくと間違いがありません。
地域ならではの葬儀の決まりなどがあればそれもメモしておきたいものです。
菩提寺によって法要の費用は大きく変わり引き継いだ家族にはわからないことが多く、頭を悩ませることが多いようです。
今までに行ってきた法要の時(3回忌や13回忌など)の参考金額なども入れておくといいかもしれません。
葬儀の前にあらかじめ伝えておきたいことについてはこちらで解説しています。
→ その日を迎える前に確認しておくべきこと|葬儀の流れ・段取りを知る
※4商品の該当ページ(画像クリックで拡大します)
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【墓】
入るお墓が決まっている場合は、その場所などをしっかり記入します。
先祖の墓に入る場合は、現在のその墓の使用権者についても記入しましょう。
またそのお墓の使用権者が自分の場合は、自分の死後に誰に引き継いで欲しいかなども記入できます(法的効力はありません。
法的効力を持たせるためには遺言書が必要です)。
今まではお墓詣りにはどのくらいのペースで行っていたかなどもメモにして書いておくのも引き継いだ家族の参考になるでしょう。
お墓に入れずに散骨などを望む場合はその旨を書いておきましょう。
※4商品の該当ページ(画像クリックで拡大します)
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【遺言書】
遺言書を書いてあるかどうか、遺言執行者の名前などを記載します。
遺言書を書いてもその存在を誰かに伝えておかなければ見つからないこともあります。
エンディングノートに書いておけば安心でしょう。
また家族関係が複雑(離婚歴があり、一緒に暮らしていない子供がいるなど)な場合は、その旨を記入したり、家系図を書けるページなどを設けているノートもあります。
【不動産】
不動産については所有している不動産についてしっかり明記するとともに、登記簿謄本や権利書などの保管場所を記入しておきましょう。
自宅になっている不動産以外にも所有している不動産がある場合は、特にしっかり記述をしておかないと相続の際に抜けてしまう可能性もあります。
抵当権がついているかどうかについても書いておきましょう。
【預貯金・現金】
どの銀行と取引があるのかを記入しておきます。
(これを機に休眠口座などがある場合は解約しておくといいでしょう)
キャッシュカードの暗証番号はここに書いてしまうと悪用される可能性もあるので注意が必要です。
一番信頼できる人に口頭で伝えておくのが安全です。
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【クレジットカード】
所有しているクレジットカードの情報も記入します。
どのカードを持っているかはっきり伝えておかないと、自分の死後にも年会費の請求が続いてしまうかもしれません。
セキュリティー上、カード番号末尾全てまでは書かなくてもいいのですが、どのカードを持っているかだけはしっかり書いておきましょう。
【口座の引き落とし情報】
手間はかかりますが、口座の引き落とし情報を書いておくと、残された家族はとても助かります。
これがないと、請求書やクレジットカードの明細などを1年くらい遡らないとわからないからです。
電気や水道などの誰でもすぐわかるものはいいですが、年に1回しか引き落としがなく、見落とされそうなものだけでも書いておくといいでしょう。
【保険】
生命保険、医療保険、火災保険、年金、自動車保険など、加入している保険の情報を書いておきましょう。
またそれぞれの証書をどこに保管してあるかも記入しておきましょう。
【デジタル資産】
SNSなどやブログなどのデジタル情報についても記入しておきましょう。
WEBサイトはIDとパスワードがわからないとログインができません。
自分の死後にはどうして欲しいのか(そのまま残して欲しい、削除して欲しいなど)を、IDやパスワードを添えて依頼しておくといいでしょう。
Amazonや楽天などのショッピングサイトの場合は、不正使用の心配もあるのでパスワードを書くのは危険があります。
登録メールアドレスとIDを記入しておきましょう。
これがわかれば引き継いだ家族もパスワードの再発行が申請できるのでログインすることが可能になります。
【その他の財産など】
その他、各種会員権や、貴重品などについて相続がわかりやすいように記載しておきましょう。
また「正」の財産だけではなく「負」の財産(借金・ローン)については、伝えておかなければ延滞金などで迷惑がかかるだけですので、こちらもしっかり記載しておきましょう。
死亡してから遺産相続まではとても忙しくなります。
葬儀や法要などをしているとあっという間に相続税の支払い期限である10か月が来てしまいます。
「どんな財産が残っているのか」ということを把握するだけでも大変ですので、どんな財産があるのかは本人がエンディングノートに書いておくのが一番です。
離婚歴などがあり、自分の死後に普段交流のない家族が相続人として権利を持つ場合はその家族のことも書いておかなくてはなりません。
伝えにくいことかもしれませんが、相続の時になって「初めて聞いた」というようなことがあると、残された家族はとても困惑してしまいます
家系図などを記入できるエンディングノートもあるのでそのページに書いておくのもいいでしょう。
遺産相続についてはこちらで詳しく解説しています。
→ 遺産相続手続きの流れを知る|何をいつまでに?相続税はかかる?
家族をはじめ親族、知人などの連絡先を記入します。
自分の死後、葬儀などの連絡を入れる際に、これがしっかり書かれているとその時の連絡がとてもスムーズです。
連絡先の記載がない場合は、家族がアドレス帳などを参考に探しますが、その中の誰が特に重要なのかは本人でなくてはわかりにくいものです。
連絡しなければならない人を探し出すのはわかりにくいでしょう。
一度、しっかりここにまとめておくといいでしょう。
親族なども、自分はわかっていても、子供の世代になるとどこまでが親戚なのかというのも案外わかりにくいものです。
※4商品の該当ページ(画像クリックで拡大します)
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【自分の事】
現在の自分の基本情報を書きます。
住所、氏名といった基本項目と、保険証の番号、パスポートの番号など、さまざまな情報を記載していきます。
また好きなものや趣味などを書くエンディングノートもあります。
あまり悩まずすぐに書き出せるページなので、エンディングノートの書き出しとして記入しておくといいでしょう。
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【自分史】
自分史のところでは子供の頃から今までのことを書き出していきます。
今まで住んでいたところ、通った学校の名前などを書き出したり、10代の思い出、20代の思い出というように年表形式で書いていくものもあります。
過去は変わらないので、このページも書きやすいページです。
その他としては各社のエンディングノートによって異なりますが、飼っているペットの情報、大切な人へのメッセージを書くスペースを取っているもの、加入している趣味のサークルや団体などの情報をなども記載できるものもあります。
以上のような項目がエンディングノートにはあります。
各メーカーによってそれぞれスペースの取り方などがかなり異なります。
他のノートには記入欄があっても選んだノートには記載するページがないこともあります。
その場合は、選んだエンディングノートに書きたい項目のページがなくても、付箋メモなどで足していくことももちろん可能です。
基本的な項目は用意したエンディングノートの形式に合わせて書いていくことになりますが、全てを埋める必要はありません。
残す家族のことを考えながら、また、自分の人生や今の状況を確認しながら、自分にとって必要なところを書いていけばいいでしょう。
エンディングノートは最終的には家族に見てもらうためのものですが、自分が元気なうちに見られるのはかなり恥ずかしいものです。
特に自分史や、大切な人へのメッセージなどが見られれてしまうのは、できるだけ避けたいものです。
ただし、誰にも見つからないようなところに隠してしまっては、万が一の時にも発見してもらない可能性が高くなります。
これでは意味がありません。
誰にでも目に付くところではなく、でもなかなか見つからないところではない、個人の机や引き出しなどにそっとしまっておくのがいいでしょう。
そして「エンディングノートを書いているから」ということを家族に話しておくことです。
どこにしまってあるまでは言わなくても、エンディングノートがあるということがわかれば家族は探してくれるはずです。
その時に、「当然ここは探すだろうな」という場所に置いておきましょう。
エンディングノートは書店などで購入ができます。
大きな書店では専門のコーナーがあり、かなりの種類のものが置いてあります。
コクヨのエンディングノートは文具の扱いのためか書店よりも文具店で販売されていることが多いと思います。
Amazonなどでも購入はできますが、内容がかなり違いますので、できれば直接見て購入することをおすすめします。
また、とりあえず書いてみたいという方には無料で入手する方法もあります。
おすすめは各自治体で提供しているエンディングノートです。
企業で配布しているものとは異なり、メールアドレスなどの登録も必要がないのでおすすめです。
有名なところですと以下のような自治体です。
・東京都狛江市
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/44,78727,340,3060,html
・東京都府中市
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kenko/korenokata/mirainote.html
・大阪府堺市
https://www.city.sakai.lg.jp/smph/minami/kurashi/sogocenter/korei/haifu.html
・愛知県豊川市(おしゃれです)
https://www.city.toyokawa.lg.jp/kurashi/fukushikaigo/zaitakuiryo/houkatu/chirashi/zaitaku280915.html
・滋賀県守山市
https://www.city.moriyama.lg.jp/chiikihokatsu/20181126.html
これらのエンディングノートはPDF形式などでダウンロードして自由に使うことができます。
内容の濃さや書きやすさも考えると、最終的にはしっかりとしたノートを購入することをおすすめしますが、「まずはどんなものか書いてみよう。」という場合はこのような自治体のエンディングノートを利用してみてもいいでしょう。
また、親にエンディングノートを書いてもらうことを提案する時も、「ノートを買ってわざわざというのはわざとらしいなあ・・・」という気持ちもあるかもしれません。
ですが、このような簡易な自治体のエンディングノートでしたら、「自治体で出してるエンディングノートがあるんだって」と、話のネタとしてさりげなく勧めることができるかもしれません。
それほどデザイン性がいいものばかりではありませんが、そんなふうに使ってみるのもいいと思います。
終活という言葉とともに、エンディングノートもとても一般的になりました。
子供が知らないだけで「実はエンディングノートを書いている」という親も案外多いのかもしれません。
私の親(父)はエンディングノートを書いているそうです。
どこにそれがあり、どのようなことが書いてあるのかは全くわかりませんが、75歳の迎える少し前から書き始めたと言っています。
母はそのようなことがあまり得意ではないので、
「お父さんに一緒に書いてもらっている」と言っていました。
このように親がしっかりとエンディングノートを書いてくれているというのを聞いて、とてもほっとしました。
ありがたいなあと思います。
エンディングノートは高齢の親だけではなく、私たちも本当はすぐにでも書き始めてもいいものなのだと思います。
私たちだって、万が一のことがいつ起こるとも限りません。
また50歳を過ぎたら、残りの人生もだんだん見えてきます。
この後の人生で何がしたいのか、どんなふうに生きていきたいのか・・・ということを見直すためにも、親に勧めると同時に、私たちもエンディングノートを書き始めていくべきだと思っています。