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親に最期の時が来て、看取りを終えた後、私たちはその後どう動けばいいのでしょうか?
祖父母が亡くなった時などは、まだ自分は子供でした。
ですので、ただ,「悲しい、寂しい」という感情に浸っていることもできましたが、親が死亡した時はそういうわけにはいきません。
両親の片方が亡くなり、もう片親の方が全てを段取り良く仕切れるのなら任せることもできるかもしれませんが、実際にはもう高齢で、その負担をさせるわけにはいかないのではないでしょうか。
事実上、葬儀の手配や段取りをするのは私たち子供の役目になるはずです。
悲しむ暇もなく、その準備はやってきます。
親の死から葬儀まではあっという間で時間もありません。
その日になって慌てないように、臨終の時から葬儀まではどのような流れ(段取り)になるのか、知っておくべきです。
葬儀にはどんな種類があるのか、費用はどのくらいかかるものなのかなども知っておくとその時になって慌てることはありません。
事前に依頼できる葬儀屋(葬儀社)にはどこがあるのかなどを確認しておくと、より安心です。
また、もっと前の親が元気なうちに確認しておきたい、宗派や地域のしきたりなどの事項もあります。
ここでは事前に確認しておきたいこと、そして親の死から葬儀のまでの流れなどについてまとめています。
親の死のことを早いうちから考えておくのはなんとなくタブーのような気がして、家族の間でも口に出しにくいかもしれません。
ですが、その日を迎える前までに、確認しておいた方がいいこと、できれば家族間で話し合っておいた方がいいことがいくつかあります。
実際の詳細な決め事については、その日が来てから葬儀屋の指示で動けば、ほとんどの場合、滞りなく葬儀は進むでしょう。
葬儀社もプロですので、喪主側に負担がかからないように段取りをしてくれますのでそれほど心配はいりません。
ですが、次のことについてはあらかじめ家族側で確認、方向性の決定をしておくことが望ましいと思います。
また、以下のような状態になり、親の死を意識するようになったら、状況に合わせて、葬儀社もある程度絞り込んだり、見積もりをとったり、見学や仮予約なども考えていいと思います。
これは決してタブーではありません。
親の葬儀をいいものにし、満足のいく見送りをするためには、当日にバタバタとするのではなく、あらかじめ信頼できる葬儀社を決めておけば、あとは安心してその日を迎えることができます。
昔のように兄弟が多い時代でしたら、そんな話を集まってするなどということはなかったかもしれませんが、今は時代が違います。
兄弟も少なく、顔を合わせる機会も多いでしょう。
事前にある程度の話をしたりすることも可能だと思います。
葬儀屋の情報もインターネットで揃う時代ですので、事前に調べておくということをおすすめします。
また、親がまだ元気なうちに、親の交友関係などは聞いておいたり、親の意思なども聞いておくといいでしょう。
中には「私のお葬式は一切お金をかけないで!」というような希望を持っている場合もあります。
このような話は親がまだ元気なうちに雑談として話ができるといいですね。
葬儀が現実のものをなる前に、あらかじめ確認しておきたい「形式」と「規模」について、まずは知っておきましょう。
葬儀にはまず形式による違いがあります。
日本における葬儀の主な形式は以下の通りです。
※割合は【日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査(2014年)」】を参照にしています(無回答は1.4%)。
【割合:91.5%】
一般的な葬儀の形で、日本の場合は9割以上が仏式です。
僧侶に読経してもらい、参列者は焼香をします。
仏教では、「人は死後に仏様の弟子になり、極楽浄土(天国)に行く」ということになっていて、仏式の葬儀は、亡くなった人を極楽浄土に送り出すための儀式ということになります。
ただし、同じ仏教でも宗派(浄土真宗、曹洞宗、真言宗、臨済宗、日蓮宗など)によって、お経も変わりますし、若干の作法などは変わります。
宗派によっては準備する用具、お花なども変わるケースもあります。
葬儀屋にもはじめにこの宗派を聞かれますので、仏教の中でもどの宗派なのかは、葬儀の有無に関係なく早い段階で確認して、知識として知っておきましょう。
菩提寺(いつも法要等をお願いする寺院)が決まっているのに知らない場合も、どこなのかを確認をしておきましょう。
【割合:1.4%】
神式は神道(しんとう)という宗教に則った葬儀で、神葬祭(しんそうさい)と呼ばれます。
神職は祭詞奏上を、参列者は手水の義、玉串奉奠を行います。
神道祭では死による穢れ(けがれ)をお払いし、故人を守護神にするための儀式となり、死によって訪れた不幸を清め、不幸のない状態へと戻すします。
先祖崇拝(そせんすうはい)はこの神道の考え方に基づいています。
仏式と同じく日本の古くからの宗教ですが、様式や作法は全く別のものとなります。
割合は少なく、全国でも1.4%ほどです。
神式は珍しい形式であり、どこの葬儀屋でも扱ってくれるわけではないため、神式の葬儀を行う場合は仏式の場合よりも早く葬儀屋の目星をつけておくことをおすすめします。
地域にもよりますが、当日になって探そうとしてもかなり難しいのではないかと思います。
【割合:1.7%】
キリスト教の信者による葬儀です。
同じキリスト教でもカトリック、プロテスタントによっても違いがあります。
カトリックでは神父によるミサ、プロテスタントでは牧師による葬儀式が行われます。
参列者は献花をします。
プロテスタントは比較的柔軟ですが、カトリックには厳しい決まり事も多くなっています。
葬儀は普段通っている教会で行われることになるでしょう。
葬儀場で行ってくれるところは限られています。
実家がキリスト教の場合は、あらかじめ家の葬儀の行い方についてはしっかり確認しておく必要があります。
【割合:4.0%】
宗教や形式に囚われず自由に行う葬儀です。
司会が式を進行し、献花が行われるケースが多くなっています。
全国的には5%弱ですが、都内を中心に関東では10%以上と増えてきています。
菩提寺(お寺)に払う費用などもないため、費用もあまりかかりません。
宗教にこだわらない、特別なものはしなくていい、お別れの場だけを設けたいという場合はこの形になります。
以上、日本で行われている主な葬儀の形式4つを紹介しましたが、今まで出席したお葬式を思い出しても、仏式以外のものに参列したことがある方はほとんどいないのではないでしょうか。
実際、9割以上が仏式で、普段は特に宗教を意識していないご家庭でも葬儀は仏教で仏式というのがほとんどだと思います。
(※ここでも今後は仏式を原則としてこの後の説明をさせていただきいます。)
次に葬儀の規模(形態)です。
葬儀には多くの参列者が並ぶ一般葬(一般的な葬儀の形態)もありますが、近年では親族だけで行う家族葬というものも増えてきています。
また一切の葬儀を行わない直葬というものもあります。
どのような規模で行うかによって、その準備や費用なども変わってきます。
また親本人が、自身の希望として、
「多くの人を呼ぶのではなく、家族だけに見送られたい。」
「できるだけお金はかけないで欲しい。」
「葬儀はしなくていい。」
などの考えがあるかもしれません。
はっきりとではなくてもいいですが、葬儀に対する親の希望も機会があれば聞いておくべきです。
(親がまだ元気なうちに聞いておくことができれば本当は一番いいですね)
では、それぞれの葬儀の形態の特徴やメリットデメリットなども確認しておきましょう。
親族をはじめ、近所、友人、会社関連の方など、故人だけではなく喪主の関係者まで広く声をかける一般的な葬儀です。
新聞のお悔み欄などで知った人も参列に来ることもあります。
参列者が31人以上を「一般葬」と呼びますが、実際には50人〜100人以上と多くの人が集まることもあります。
知り合いから知り合いに伝わり駆け付けたという方も来るのでどのくらいの人が来るのか事前にはっきりはわかりません。
名前の通り最も一般的で、ここ数十年で一番多い葬儀の形態です。
【メリット】
やはり多くの方が参列に来てお別れをしてくれる姿を見ると、親の生きてきた道を深く感じることができるのではないでしょうか。
親の交流関係など改めて知ることもできます。
この式で一度にお別れができるので、その後に自宅などに弔問客が来るというようなことがなく、その後の面倒もありません(家族葬の場合は後から聞いて自宅に来る人も多い)。
多くの香典が集まります。
【デメリット】
参列者の対応に追われ、家族と一緒にゆっくり故人を偲ぶことが難しくなります。
人数も多いので、喪主の挨拶が負担になることも。
参列者の人数は事前には把握しにくく、実際の規模がわからない場合もあります。
【費用】
おおよそ150万〜200万(もっと安く、もっと高くもできる)
葬儀の規模が大きいので総額は高くなりますが、一般の参列者から香典が多く集まるため、かえって小規模の家族葬よりも持ち出しは少なることが多いです。
家族や知人、友人だけの少人数で行う葬儀です。
一般的には30人参列者が30人以下を家族葬といいますが、実際には10〜20人くらいになります。
近所などにも知らせず、訃報を知らせた限られた人だけが参列します。
家族葬は「小さいお葬式」などとも呼ばれ、近年ではかなりの割合で増えてきていて、関東では一般葬と並ぶほどの割合になってきています。
【メリット】
家族が周囲に気を使うことなく、故人を見送ることができるのが最大のメリットです。
受付を手配したり、改まった挨拶をしたりというような面倒もありません。
人数が事前に把握できるので予算が立てやすく、進行もスムーズです。
家族だけですので、「喪主だから」というようなプレッシャーもありません。
【デメリット】
葬儀等がすべて終わった後に、訃報を聞いて家に弔問にくる方がいて、「どうして知らせてくれなかったんだ。」「知らせてほしかった。」と言われてしまうこともあります。
故人にお礼とお別れを言うのが葬儀ですから、「もっと盛大にやった方がよかったのでは?」と後から少し後悔する気持ちを持つかもしれません。
【費用】
60万〜100万(もっと高くもできる)
規模が小さいので総額は低くなりますが、香典がほとんどないので、実際にかかる(持ち出しになる)お金は一般葬よりも大きくなることが多くなります。
亡くなった場所から直接に火葬場へご遺体を運び火葬します。
葬儀などの儀式は一切行いません。
【メリット】
費用も、時間も、労力も最小限で抑えることができます。
自宅への搬送もないので、近所に知られることもありません。
【デメリット】
何も行わないので、あとから家族が後悔することも多いようです。
読経、戒名、お布施もないので、菩提寺に納骨を断られることもあります。
【費用】
15万〜20万程度
最も安く、最低限の費用しかかかりません。
芸能人や著名人などの葬儀に多い形態で、後日に本葬やお別れの会などを開くことを前提に、近親者だけで先に行う葬儀です。
式が2回になるので費用は高額ですが、多くの参列者が来るので香典等もかなりの額になります。
一般の家庭ではほぼ密葬を行うことはないでしょう。
それぞれの人数、費用、割合をもう一度まとめますと、以下のようになります。
※密葬は特殊ですので除いています。
※割合の数値の残りにはこの他に、密葬などがあります。
一般葬 | 家族葬 | 直葬 | |
---|---|---|---|
人数 |
(定義は31人以上) |
(定義は30人以下) |
葬儀はなし |
費用目安 |
150〜200万 |
60〜100万 |
15〜20万 |
割合 | 5割強 | 4割前後 | 1割前後 |
東京都など | 4割強 | 4割強 | 1割強 |
金額だけを比べると、一般葬の費用がとても大きく見えます。
しかし実際は、何にどのくらいお金をかけるかによっても変わってきますが、一般葬の場合は7〜8割が香典で賄えるので、実際の持ち出しは家族葬の方が多くなるケースが多くなっています。
まだ全国的には一般葬の方が多いですが、同じ一般葬でも近年はどんどんその参列者は少なくなっています。
一部の資料では、1996年には平均で180人いた参列者も、2005年には100人を切り、近年では50人前後が多くなっているようです。
これには都心部を中心に家族葬が増えてきていること、また対象の故人が年々高齢化しているので、実際に式の際になかなか人が集まらなくなったというのもあります。
以上のような「葬儀の形式」、「葬儀の規模」については、その日が来てからではなく、あらかじめ確認をしておいた方がいいでしょう。
葬儀の形式や宗派、菩提寺の所在などは親が元気なうちからでも知っておくべきですし、葬儀の規模については親の希望もさりげなく確認しながらも、子供たちですり合わせをしたりしておくといいでしょう。
いよいよの日が近いと感じたら、事前に葬儀屋を調べておくこともぜひやっておくべきです。
その日にいきなりでは、いい葬儀屋を選ぶことが出来ないかもしれませんし、準備がないために相場以上のお金をかけてしまうこともあるでしょう。
見積もりやパンフレットなどをもらうこともできますし、見学会なども開催しているところもあるので、事前の準備をしておくことをおすすめします。
もうひとつ注意しておかなくてはいけないのは、その地域における特殊なしきたりや風習です。
例えば、私の住んでいる栃木県では、故人の着物や衣服を家の裏に北向きで干して、水をかけてながら常に濡れた状態にしておくという七日ざらしという風習や、同じ組の方と親族が、一緒に一つの長い数珠を手に持ち、念仏を唱えながら数珠を順に横に回していくという、百万遍の儀式を行う風習がある地域もあります。
全国的に見ても地域性の高い地区では結婚式でも特殊な儀式があるように、葬儀でも変わった風習のあるところもあるかもしれません。
地元の葬儀屋ならもちろんこのような風習は知っているはずなので相談はできるとは思いますが、そのような地域に該当する場合は、親が元気なうちにある程度地域の風習は確認しておくべきでしょう。
それでは親が亡くなってから葬儀、火葬が終わるまでの流れを見ていきましょう。
臨終(看取り)の時から見送りまでは、悲しむ暇もないほど、いろいろなことをしなくてはなりません。
やらなくてはいけないこと、決めなくてはいけないことを考えると、喪主側としてはパニックになりそうですが、実際には一連の流れ段取りについては、葬儀屋の方たちが仕切ってくれます。
次は何をすればいいかなどは段取り良くアドバイスをしてくれるので、そこまで悩むことはありません。
私たちとしては、おおよその流れを理解することで、儲け主義ではなく、家族の立場に添って提案してくれる、きちんとした葬儀屋(葬儀社)を選ぶことが最大のポイントになります。
日本では約8割の人が病院で亡くなります。
ですので危篤の連絡は病院から来ることになるでしょう。
突発的な事故や容態の急変ではない限り、余命があと1週間くらいという時になると、医師の方から「そろそろご家族にお伝えください」と話をされます。
病院以外の場所、例えば自宅などで危篤状態になったらすぐに救急車を呼ぶか、病院に連絡をしましょう。
もうすでに看取りの準備として在宅介護に入っている場合は主治医の先生に連絡を取ります。
万が一、もう脈や呼吸が止まっていて私たちから見ても死亡が確認できる状態でも、医師が確認するまでは動かすことなどはできません。
まずは医者の到着を待ちましょう。
【やるべきこと】
最期を看取ったら、遺体は一旦病院の安置室で安置されますが、長時間は置くことはできませんので、すぐに搬送しなくてはなりません。
搬送は葬儀屋がすべて行ってくれますので、すぐに葬儀屋に連絡をします。
また、医師から死亡診断書を受け取ります。
この死亡診断書は死亡届を兼ねていますので役所へ提出しなくてはなりませんが、これも葬儀屋で代行で行ってくれます。
遺族は死亡診断書に必要事項を記入し、葬儀屋に書類を渡しましょう。
死亡診断書(死亡届)についてはこちらでも詳しく解説しています
→ 「死亡届」と「死体埋火葬許可申請書」|親が亡くなった後の手続き
この際、保険の請求などでも必要になることもあるので死亡診断書はコピーを取っておきましょう。
再度発行してもらうことになると、5,000円くらいの費用が掛かります。
このように遺体の搬送、死亡診断書(死亡届)の提出などは全て葬儀屋が行ってくれます。
ですので、私たちはどんなに遅くてもこの時点では葬儀屋を決定しておかないと、その後が進まなくなります。
全て自分たちでやるというのは遺体の搬送もあるので現実問題として無理でしょう。
葬儀屋がこの時点で決まっていない場合は、病院での紹介してもらえることもあります。
また病院内で待機して声をかけてくる葬儀屋もいます。
しかし、その場で声をかけられてもその葬儀屋がいい葬儀屋なのかどうかはわかりません。比べる手段がないからです。
ですので、突然の死で準備が全くできなかったという場合以外は、もっと前にしっかり葬儀屋を決めておき、臨終の時にはすみやかに連絡を取れるようにしておくのがベストです。
信頼できる葬儀屋さえ決まっていれば、その後のことはすべてお任せしながら進めていくことができます。
事前に葬儀屋が決まっておらず、病院で仕方なくよく知らない葬儀屋に遺体の搬送等をお願いした場合でも、必ずしもその後の葬儀の全ても依頼しなくはならないということはありません。
万が一「ここはあまりよくない気がする」というような葬儀屋に頼んでしまった場合は、遺体の搬送のみで断ることも不可能ではありません。
「怪しいな?信頼できないのでは?」とどうしても思うようなら、断る勇気も持ちましょう。
【やるべきこと】
葬儀屋に遺体の搬送をお願いします。
一般的には自宅か葬儀を行う斎場のどちらかになります。
病院に長く入院をしていた場合などは、一度は自宅に返してあげたいという願いも強いと思います。
この場合は自宅への搬送になります。
葬儀屋はプロですので遺体でもしっかり抱きかかえるなどして、通路やエレベーターがマンション等でも希望の場所へ安置してくれます。
一方、家が狭くて葬儀までの安置場所がない、自宅では駆け付けた親戚にいてもらう場所がないなどと場合は葬儀を行う予定の斎場に搬送になります。
家族葬でひっそり行うつもりなので近所に亡くなったことを知らせたくないという場合などもこちらになることもあります。
最近の遺体を搬送する車は、いかにも葬儀社の車というものではないので、近所にはわからないかもしれませんが、黒いスーツの人が何度も出入りしているとそれなりには周りにはわかってしまいます。
この場合も斎場に直接という方が面倒はないでしょう。
遺体は搬送されると、枕飾りなどを行います。
遺体の枕の前に香炉、線香、燭台、花を刺した花立てなどを用意します。
並べ方や用意するものは宗派によって少し変わりますので、葬儀屋に宗派を伝える必要があります。
尚、直葬の場合はそのまま火葬場への搬送になります。
火葬場でも安置所があるのでそこで荼毘(火葬をすること)の時まで安置します。
法律上、死亡が確認されてから24時間は火葬をすることはできません。
【やるべきこと】
具体的な葬儀の打ち合わせを葬儀屋行います。
葬儀の形態(家族葬、一般葬など)、詳細のプランや予算、日程などを決めていきます。
日程については、病院から葬儀社に連絡を取った時点で先に決めることもあります。
斎場や火葬場の予約が取りにくい状況の場合は日程だけは早めに決めるようになるケースも多いようです。
役所へ「死亡診断書」(コピーを取る)、「死体埋火葬申請」の提出も葬儀屋で代行してもらいます。
葬儀の準備として決めること、用意することは次のような内容になります。
『チェックリスト』
項目 | 内容 |
---|---|
斎場の予約をする(通夜・葬儀に日程) |
斎場の場合は空きも確認し、葬儀屋と打ち合わせの上日程を決める。 |
喪主を決める |
遺族の代表として喪主を誰にするかを決める。 |
会葬者の人数 |
一般葬の場合は人数ははっきりとはわからないが、おおよその人数を想定しておく。 |
祭壇を決める |
葬儀屋のカタログから選んで決める。 |
棺を決める |
葬儀屋のカタログから選んで決める。 |
返礼品を決める | 葬儀屋のカタログから選ぶ。800〜1000円くらいが多い。 |
食事を決める | 通夜の時の食事(通夜振る舞い)、火葬場での食事(軽食の場合も)、精進落としの料理などを決める。 |
訃報の用意と手配 |
通夜・葬儀の日時と場所を伝える訃報を手配する。口頭の場合も文面の場合も定型文が葬儀屋からもらえるので確認する。 |
遺影を用意する |
遺影に使う写真を用意する。デジタルデータ、プリント写真どちらでも可。 |
葬儀の受付を決める |
家族葬の場合は親族の間で行うが、一般葬で参列者が多くなる場合は、他に依頼する(友人や近所の方など)。 |
喪主挨拶を決める |
葬儀・告別式の後に喪主の挨拶がある。 |
【やるべきこと】
僧侶に葬儀の依頼をします(仏式の場合)。
いつも法事等を行っているお寺(菩提寺)に連絡し、お坊さんに来てもらえるように依頼をします。
菩提寺が事情で遠方にある、または決まっていないという場合は、葬儀屋で手配してもらうこともできますし、今はインターネットで探すこともできます。
この場合も宗派は聞かれるので事前に確認しておきます。
ただし、菩提寺がある場合は、連絡もなく勝手に行ってしまうと納骨ができない等のトラブルもあるので、必ず連絡を入れるようにしましょう。
(そのためにも親が元気なうちに必ず菩提寺はどこなのか確認をしておくこと)
葬儀の依頼の際に戒名も依頼します。
戒名は仏門に入ったことを表す名前で死後の世界では今までの名前(俗名)ではなく、この戒名が故人の名前になります。
費用のところでも解説しますが、戒名にはランクのようなものがあり、それによってお布施の目安が変わります。
ですので、この時点でどのランクの戒名を付けてもらうのか決めておかなくてはいけません。
【やるべきこと】
【枕勤め】
通夜の前に菩提寺の僧侶に来てもらい、枕飾りの前で読経をしてもらう枕勤めの形をとることもあります。
もともとはこちらが正式ですが、現在は通夜の時の読経と合わせて行うケースが増えています。
菩提寺に連絡をする際に、枕勤めはどうするのかも決めておきましょう。
どちらのケースが多いのかも葬儀屋と相談してみるといいでしょう。
故人がどこのお墓に入るのかの確認もしておきます。
菩提寺などで入るお墓がすでにある場合はいいですが、それ以外の場合はどこのお墓に入れるのかを親族にも確認しておきましょう。
今あるお墓に納骨することができない、亡くなった時点でお墓がないという場合は、菩提寺でお墓ができるまでお骨を預かってもらうこともできます。
ただし、何年もそのままというわけにはいかないので、葬儀等が終わった後、お墓についての話し合いが必要です。
(できることならもっと早い時期にお墓がどこなのかなどを親ときちんと話し合っておくといいでしょう。)
【やるべきこと】
葬儀屋への支払いは後日で大丈夫ですが、僧侶への支払いは現金での支払いになるので通夜の前までにはある程度の現金が必要になります。
一般葬の場合はある程度香典で集まりますが、すぐに開封してというわけにはいかないので、やはり先に用意しておくべきです。
亡くなった親本人の預金を葬儀費用に充てるということが多いと思いますが、これには注意が必要です。
銀行は本人が亡くなったと伝えると、その場で口座を凍結します。
ですので私たち家族が預金を下すことができなくなります。
銀行に死亡したことを伝えていなければカードや通帳で親の口座からお金を下すことはできます。
これは遺産相続等でもめないための措置であり、法律違反というわけではありません。
親の口座から葬儀の資金を下ろす場合は、銀行にはあえて亡くなったことを伝えずに下すということを忘れないようにしましょう。
これは亡くなった後に下すというケースですが、親のお金に関しては、親の病気の具合にもよりますが、できればもっと事前に子供の方で管理する体制を作っておいた方がいいと思います。
【やるべきこと】
通夜とは本来は故人との別れを偲び、灯明と線香の火を絶やさないように遺体を見守る儀式です。
通常は亡くなった翌日に自宅もしくは斎場で参列者を呼んで行います。
(亡くなった当日の夜に親族だけで遺体を見守ることは仮通夜といいます。)
遺族側は供花の並び順の確認や通夜での親族側の席の確認をします。
受付の方への挨拶、式後は香典を受け取ります。
来ていただいた僧侶にお布施(お車代、お膳料も)を渡し挨拶をし、戒名も受け取ります。
喪主は式の最後に挨拶があるので準備をしておきましょう。
通夜のあとは隣室で通夜振る舞いが行われます。
弔問客に料理やお酒を振る舞いながら、故人の思い出を共に語り合う場所です。
ここではできるだけ多くの人に声をかけ、寄っていただくようにしましょう。
自分たちが知らなかった親の人脈や生前の様子、思い出話が聞けることも多く、そこで語らうことで亡くなった親も喜んでくれるはずです。
【やるべきこと】
葬儀は故人の冥福を祈り、弔う宗教としての儀式です。
これに対し告別式は、親族や知人とのお別れをする会になります。
遺族側は通夜で行ったように僧侶への挨拶や、受付の方への依頼などを行います。
また喪主は最後に喪主の挨拶があります。
【やるべきこと】
告別式のあとは出棺し火葬場に霊柩車とバスなどで向かいます。
斎場に併設されている場合もあります。
(火葬場で遺体を火葬することを荼毘に付す(ダビニフス)といいます。)
火葬に立ち会うのは親族などのごく一部になります。
火葬場では火葬許可書を出して受付をしますが、葬儀屋の方で進めてくれているのでこちらでは確認をするだけで大丈夫でしょう。
僧侶に火葬場にも来てもらいここでも読経をしてもらうこともありますが、近年では省略されるケースの方が一般的です。
火葬には40分〜2時間くらいの時間がかかります。
この間は控室でそのまま大気になります。
火葬が終わると、収骨(火葬されたお骨を拾い上げ骨壺に入れること)をします。
この後、再び場所を移して(斎場に戻ることが多い)、火葬に参加した親族で精進落としと呼ばれる会食を行います。
(精進落としは必ずしも葬儀屋の手配で行う必要はなく、自分たちで料亭等を予約しそこで行うのも自由です)
【やるべきこと】
火葬され骨壺に収められた遺骨を持って自宅等に帰ります。
持ち帰った遺骨は後飾り壇に安置します。
後飾り(あとかざり)とは、遺骨を埋葬の日もしくは忌明けまで、安置するための仮の祭壇のことで、関西では中陰壇と呼ばれることもあります。
後飾り壇も宗派によって少しずつ飾り方が変わりますが、こちらも葬儀屋の方で用意をし教えてくれます。
故人が亡くなって7日目にははじめての法要である「初七日の法要」を行います。
この7日間で故人は三途の川にたどり着くと考えられ、この川を無事に渡れるようにお祈りするのが初七日の法要です。
(ただし浄土真宗だけは6日後)
初七日法要では、また僧侶に来ていただき読経をしていただきます。
しかし、最近では改めて初七日法要はせず、葬儀当日に行う「繰り上げ初七日法要」や「繰り込み初七日法要(式中初七日法要)」として、まとめて行うケースが一般的で、葬儀後にそのまま引き続き行われることの方が多いようです。
初七日法要についても葬儀屋と相談してみるといいでしょう。
【やるべきこと】
以上が、臨終から通夜、葬儀、火葬、初七日という、親が亡くなってからすぐにしなければならないことの概要です。
はじめてのことでもそのほとんどは葬儀屋の方で段取り良く進めてくれるので、心配はいりません。
ただ、信頼できない葬儀屋に依頼をしてしまうと、満足のいく葬儀ができないばかりか、葬儀費用も想定外に高くなってトラブルになることも少なくありません。
このようなことからも「その日を迎える前に確認しておくこと」のところも参照のうえ、葬儀屋は事前に調べ早めにどこに頼むか目星をつけておきましょう。
葬儀の費用について、改めてまとめておきましょう。
葬儀の費用の総額は「葬儀一式」と、「実費」と、「お布施」の合計になります。
そしてそれらにはほぼ固定で金額の変動がないものと、どのランクを選ぶかで金額が大きく変わるものがあります。
固定でかかるものは下げようがありませんので、葬儀の費用を抑えるなら、棺や祭壇などどれを選ぶかで金額が変わるものの金額をシビアに見ていく必要があります。
葬儀を行うのに欠かせない費用になります。
何を選ぶかで変わるものと、ほぼ一律で価格が変わらないものがあります。
【葬儀一式の主な費用】
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
斎場使用料 |
10〜30万(民間の斎場) |
葬儀の規模による。家族葬向けの小さな会場の場合は安くなる。 |
棺 | 5〜30万(高級なものは数百万) |
一般的な合板の棺は5〜10万くらい。 |
祭壇 | 20〜100万 |
会場の広さ、祭壇の大きさ、デザインなどによって価格が変わる。 |
遺影 | 1〜3万 | 加工込み。サイズによって異なる。 |
ドライアイス | 0.5万〜1万 | 遺体の保存のために使用する。季節によって変わる。 |
寝台車 | 数万円 |
病院から自宅、自宅から斎場への移動に使用する。 |
霊柩車 | 1.5〜5万 |
火葬場への搬送に使用する。車種によって変わる。 |
火葬料 | 無料〜5万 |
公営の場合は基本無料。民間の場合は5万くらい。 |
火葬場休憩室利用料 | 数千円〜2万くらい | 無料の場合もある。広さによって変わる。 |
骨壺 | 1〜数十万 |
一般的な白い骨壺は1万円くらい。 |
位牌 | 1〜10万 |
種類によって変わる。塗り位牌、唐木位牌など。3万くらいのものが一般的。 |
通夜振る舞い | 参列者1人に付き3〜6千円 | 料理の質によって変わる。参列者の数によって総額は変動。 |
精進落とし料理 | 1に付き2〜4千円程度 | 料理の室によって変わる。親族だけなので簡素化することも検討できる。 |
葬儀返礼品 | 800円〜数千円 | 1000円前後でも十分揃う。参列者の数によって総額は変動。 |
一番差が出るのは祭壇です。
斎場での見栄えも変わるので悩みますが、費用を抑えるのはどの祭壇にするかで変わってきます。
葬儀屋のカタログには高いものしか載っていないこともありますが、安いものもあるはずですので、聞いてみましょう。
また棺もいろいろなものがあります。
立派な棺を・・・という気持ちにもなりますが、棺は火葬で一緒に焼いてしまうものですので、ここにお金をかけるならその後も残る位牌などを良いものにした方がいいような気がします。
また総額だけを見ると、「予算もないし、一般葬よりも家族葬の方がお金がかからないからいいかもしれない」と考えがちですが、香典がたくさん集まるのは一般葬です。
一般葬の場合、おおよそですが葬儀にかかったすべての費用の7割から8割は香典で賄えるケースが多いようです。
家族葬は総額は安いですが、ほぼそのすべては持ち出しになるので、かえって高くなるこのも多いのです。
この点も考慮して考えましょう。
葬儀そのものではありませんが実費としてかかるものです。
【実費の主な費用】
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
通夜振る舞い | 参列者1人に付き3〜6千円 | 料理の質によって変わる。参列者の数によって総額は変動。 |
精進落とし料理 | 1人に付き2〜4千円程度 | 料理の室によって変わる。親族だけなので簡素化することも検討できる。 |
葬儀返礼品 | 800円〜数千円 | 1000円前後でも十分揃う。参列者の数によって総額は変動。 |
通夜振る舞いは参列しても、そのまま帰ってしまう方も多いので弔問客の予想人数の6割〜7割程度で考えるといいかもしれません。
返礼品も高いものもありますが、自分が他の方の葬儀に参列した時も、そこでもらった返礼品についてあれこれ思うことはなかったと思います。
数が多いと、返礼品の金額の数百円の違いでも大きく総額で変わってくるので、800〜1,000円くらいのもので十分ではないかと思います。
菩提寺に直接渡す費用で、葬儀屋を通しません(菩提寺がなく葬儀屋に手配してもらった場合は別)。
お布施の金額は本来は任意であり、直接菩提寺に聞いてみても「お気持ちで」となり、いくらにすればいいのか悩むことも多いかもしれません。
喪主経験者に聞いた調査の資料でも10万以下から150万以上まで、その金額には大きな差もあるようです。
またお布施は戒名のランクによっても変わります。
戒名は故人があの世に行ってからの名前になり、そのどのランクの名前をするかで金額が変わるのです。
実際に性質上決まりはないのですが、おおよその平均的な金額を知っておきましょう。
また寺院によっては「戒名込みで○○万円です」とはっきり言ってくれるところもあるようです。
親が元気なうちに、菩提寺の相場的なものを確認しておくのもいいでしょう。
「おばあちゃんの時は・・・」と思い出して教えてくれるかもしれません。
戒名 | 区分 | 金額 |
---|---|---|
なし(俗名) | 生前の名前のまま。特に戒名は付けない。 | 10万〜20万 |
信士 |
一般の成人につけられる戒名 | 20万〜30万 |
居士 |
信仰が厚い人に与えられる戒名 | 30万〜50万 |
院居士 |
お寺を建立をするなど、仏教に深い貢献をした人に与えられる戒名 | 80万〜100万以上 |
以上はあくまでも目安ですが、戒名によってこのくらいの差があります。
予算の関係上「戒名はなしでいい」というケースもあるのですが、戒名がないということは、仏教上ではあの世で「名無しの権兵衛」ということになってしまうそうです。
無理をしすぎても亡くなった親は喜ばないとは思いますが、戒名の意味は理解しておきたいものです。
またここで付けられた戒名はお墓や位牌に今後刻まれます。
私もこの戒名のことを知ってからは、お墓参りに行くと、墓碑に刻まれているいろいろな方の戒名をつい見てしまうようになりました。
実際には、信士、信女が多いような気がします。
私の祖母の戒名を見ると、大姉になっていました。
もともと信仰の厚い祖母だったこともあり、きっとこれは私の両親が少し無理をしてでもつけてあげたいと思ったからなのかなと思いました。
私ももし可能ならば、両親の時には居士、大姉をできればつけてあげたいなあと考えています。
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
お布施 | 10〜100万 | 通夜、葬儀、告別式を通しての総額。 戒名や菩提寺によって変わる。 |
お膳料 | 0.5〜1万 | 僧侶が通夜振る舞いなどの席に出席しなかった時の食事代にあたるもの。 |
お車代 | 0.5〜1万 | 寺院から会場までの交通費として渡す。 |
以上、葬儀の流れや費用などについて解説をしてきました。
親の死は突然になることもありますが、ある程度年を取ってきたら、それは現実問題としていつ起こってもおかしくはありません。
親の葬儀をいいものにするためにはいい葬儀屋を選べるかどうかも大きな問題です。
本来お金をかけたい部分にお金をかけられなかったり、費用の割には質の悪いお葬式になってしまったりということもあります。
いまだに「ぼったくり」と言われるような葬儀屋もいないわけではありません。
最期のお別れの時に対応が信用できない葬儀屋では、途中でイライラしてしてしまったりすることもあるでしょう。
また、よく知らない葬儀屋でお任せでやってしまった結果、葬儀が終わった後で想定外の高い請求が来たというようなトラブルもあるのです。
ですので繰り返しになりますが、葬儀屋はその時が来る前に事前に調べ、できれば見積もりをとったり、内覧会などに行って様子を見てくると安心できます。
信頼できる葬儀屋が見つかっていれば、あとは本当にお任せするだけです。
事前に費用もある程度想定できますし、それによってどんな葬儀ができるかもイメージできます。
親の死を意識する時が来たら、早めに兄弟等と葬儀のことを少し話し合ってみましょう。
葬儀が終わると、すぐに様々な手続きが始まります。
→ 親が亡くなった後の手続き|死亡後の届出・手続きチェックリスト
遺産相続についてはこちらの記事をご覧ください。
→ 遺産相続手続きの流れを知る|何をいつまでに?相続税はかかる?